* 甲州市えんざん桃源郷 ひな飾りと桃の花まつりについて *
甲州市と聞いて、山梨とか甲府っぽい地名だなと感じても、どこにあるのだろうとあまりピンと来ない人も多いかと思います。甲州市は2005年(平成17年)に塩山市・東山梨郡勝沼町・大和村が合併して発足した町です。ちょうど甲府盆地の東側地域に位置しています。
甲州市にはブドウ畑や桃の果樹園が多く、多くのワイナリーがあってワインの有名な産地だったり、フルーツの一大生産地とも言える地域で、新しい市名を付ける際に「フルーツ」という市名も候補に挙がったとか。その甲州市の旧塩山市地域を中心に行われるのが「甲州市えんざん桃源郷 ひな飾りと桃の花まつり」です。
3月3日はひな祭りとして知られていますが、平安時代は中国から伝わった上巳(じょうし)の節句」として知られ、後に「桃の節句」となり、現代ではひな祭りとして定着しています。なぜ桃の節句なのか。旧暦(3月下旬から4月中旬頃)では桃の花が咲く季節になるため「桃の節句」となったそうです。
ここ甲州市では桃の産地として桃の花祭りとひな祭りが同時に楽しめるようになっています。祭りの期間は旧暦に合わせているのかと思いますが、毎年2月11日の建国記念日から4月18日まで約2ヶ月と長く行われています。この祭りの期間中、塩山桃源郷の桃の花の見頃が4月上旬~中旬頃、3月下旬~4月上旬には慈雲寺にある有名なイトザクラが見頃となります。
また4月12日といえば信玄公の命日で、武田家の菩提寺であり、ひな祭り会場の一つとなっている恵林寺では信玄公忌が盛大に行われます。そして甲府盆地全体でいうなら4月第一週末は信玄公祭りが甲府で行われます。ここ甲州からも武者行列パレードに参加する軍団が出発します。ひな祭りだけではなく、様々なイベントや自然、或いはワイナリーなどの観光施設と組み合わせやすいのがここのひな祭りの特徴です。
「甲州市えんざん桃源郷 ひな飾りと桃の花まつり」は塩山駅北口にある重要文化財、旧高野家住宅、通称「甘草屋敷(かんぞうやしき)」がメイン会場となります。この建物は優雅な佇まいが目を引く甲州民家の代表作で、屋敷の主であった高野家は江戸時代初期頃より薬草(漢方薬の原料)である甘草の栽培を始め、後に幕府の命を受け栽培と管理を命じられるようになります。そういったことから地元では古くから「甘草屋敷」と呼ばれているようです。
ひな祭りの期間中はこの建物内部に古いものは江戸時代の享保雛から明治や大正の古いもの、そして昭和各時代のひな人形に御殿飾り雛、押絵雛などの特徴のある人形や数多くのイメージしたつるし飾りが展示され、かなり賑やかな感じになります。この地域独特というなら地元の人が作るつるし飾りにカボチャや大根といった農作物、いわゆるほうとうに入っていそうな野菜があったり、特産品である桃の実、信玄公縁の品である軍配とか武田家の家紋である武田菱がある事です。
甘草屋敷以外では有料となりますが恵林寺の宝物館や宮光園、この他、ドライブイン「信玄館」、ハーブ庭園旅日記、大菩薩の湯、道の駅「甲斐大和」、JRの甲斐大和駅や塩山駅、勝沼ぶどう郷駅、市営勝沼ぶどうの丘、旧田中銀行などにひな人形が展示されます。昔訪れたときには協賛会場はもっと少なかったので、徐々にですが規模が拡大しているようです。
感想としては、甘草屋敷しか訪れていませんが、結構楽しめました。付近の桜も見頃できれいだったし、恵林寺では信玄公忌も楽しかったです。残念ながら桃の花には少し早かったのですが、ひな祭りだけではなく色々と散策もできるのがここの魅力かと思います。