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北木島の流し雛

笠岡市の南にある石の島、北木島では、小舟(うつろ舟)に12体の紙雛を乗せ、満潮時に海へ流す風習が古くから行われています。

・開催場所 :北木島大浦(岡山県笠岡市)
・開催日時 :旧暦3月3日頃の日曜
・行事内容 :流し雛
・備考 :2016年訪問

*このページは過去の訪問記録です。
*日時、場所、行事内容が変更されている場合があります。

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* 北木島の流し雛訪問記 *

・北木島の流し雛について

北木石切唄の碑 北木島の写真
北木石切唄の碑

石の島らしく地区ごとに石の碑が設置されています。

岡山県西部にある笠岡市の沖合に北木島があります。北は白石踊りで知られる白石島、南は走り神輿で知られる真鍋島とこの付近は島が連なり、笠岡諸島と呼ばれています。

JR笠岡駅から歩いてすぐの笠岡港と古城山を隔てた伏越港からフェリーや高速艇が出ているので、比較的アクセスは容易です。

石切り場跡 北木島の写真
石切り場跡

水が溜まり非日常的な光景になっています。

北木島は花崗岩の産出と加工で栄えた島です。陸上輸送が不便だった時代には、大きな石は海上輸送で運んでいたので、石を切り出してすぐに船に積める島は石切り場として有利でした。

北木島産の石は北木石と言われ、徳川幕府が再築した大坂城の石垣、旧日本銀行本店、明治神宮、靖国神社などと各地で使われています。

石切りの断面 北木島の写真
石切りの断面

ちょっとした峡谷です。
なかなか風光明媚で、人気がでそうな場所です。

現在では安い輸入石材の方が採算がとれるので、島内での採石はあまり行われていません。輸入石材の加工の方に力を入れているようです。

豊浦地区・金風呂地区などには、以前使われていた採石場の跡がそのまま残っています。大がかりに山を削ったようで、各所で垂直に高い岩壁が露出していました。中には水が溜まってこれはこれで美しい風景となっていました。

港と集落 北木島の写真
港と集落

伝統的な家屋も見かけます。
かつては石の町として繁栄していたそうです。

かつては石材産業が繁栄を極め、島内は活気があったのですが、現在では過疎化が進んでいます。

廃業し、放置されている石材屋、また集落でも放置されたままの家屋が多いというのが現状のようです。

流し雛の案内の写真
流し雛の案内

フェリーの待合室などに張られていました。

北木島では旧暦の3月3日の昼の満潮時に、小舟に紙雛などを載せて流す流し雛が行われています。江戸時代から行われている伝統行事で、笠岡市の重要無形民俗文化財に指定されています。

現在では観光行事として、各家庭で流していたのを大浦の浜から一斉に流しています。開催日もその近くの日曜日に移されています。

・行事の様子

浜に設置されたゲート 北木島の流し雛の写真
浜に設置されたゲート

ゲートをくぐって浜へ向かいます。

流し雛の日は、朝から朝市が開かれ、行事紹介の紙芝居が行われた後に、ひな作り教室が行われます。当日訪れた観光客や帰省した人たちが参加し、流す小舟や雛を作ります。

使用する小舟(うつろ舟)は小麦わらや厚紙で作ります。そして舟の中には本来なら毎月1体ずつ作り貯めた12体の紙雛(閏年は13体)を乗せ、前後に船頭を配置し、子供の名前などを書いた大きな帆を立てます。

これにアサリ寿司やひし餅といった供え物とともに、願い事を書いた紙をいれて完成です。

子供たちの歌唱 北木島の流し雛の写真
子供たちの歌唱

始まる前に子供たちによってひな祭りの歌が歌われます。

満潮時刻の昼に合わせて浜へみんなで向い、この日のために立てたゲートをくぐって浜に入ります。

浜では保存会の方のあいさつの後、地域の子供たちがひな祭りの歌を歌唱します。

流し雛の開始 北木島の流し雛の写真
流し雛の開始

水辺ではまず桃の小枝などを砂浜に差します。

お祈り 北木島の流し雛の写真
お祈り

手を合わせ、祈りや願いを込めます。

流し雛はまず水辺に桃などの小枝をさし、その横に船を置いて無病息災や家内安全、子供の健やかな成長を願います。女性の場合は女性特有の悩みや病気の祓いを願う場合もあります。

そして紀州加太にある淡嶋神社の信仰にもとづく行事なので、「加太へ帰って下さい」と本来なら唱えながら流しますが、実行委員の方が頑張って声をあげていました。

海へ 北木島の流し雛の写真
海へ

波が高いので波に乗るようなタイミングを計って流していました。

波乗りお雛さま 北木島の流し雛の写真
波乗りお雛さま

いやっほ~。波に乗れてるぜ。みんな。ってな感じでしょうか。
頑張って少しの時間浮かんでいる船もありました。
が、波乗りおひな様はすぐひっくり返ってしまいました。

打ち上げられた船 北木島の流し雛の写真
打ち上げられた船

流したものの、波が高く浜へ戻ってきてしまいました。

果敢に挑戦する少女 北木島の流し雛の写真
果敢に挑戦する少女

何度も海へ流そうと挑戦していました。

浜の様子 北木島の流し雛の写真
浜の様子

本来なら沖に流れていく船を見守る感じなのでしょう。

浜に並べられた船 北木島の流し雛の写真
浜に並べられた船

そのうち流れていくだろうと浜に並べられていました。

荒波への航海 北木島の流し雛の写真
荒波への航海

荒波に負けるな。いざ立ち向かえ!12人の乙女たち。
などと映画のようなタイトルが頭に浮かんでしまいました。

流し雛は満潮時に行われます。満潮の潮に乗せ、引き潮とともに沖へ流れるようにするためです。

とはいえ全ては風次第です。海から風が吹けば軽い船は浜へ戻ってきてしまうし、波が高ければすぐにひっくり返ってしまいます。川に流す流し雛のようになかなか思い通りに流れてくれないのが実際です。

流れなくても浜に置いておけばそのうち流れていくだろう。ここではそういった感じのようです。

・感想など

子供たちと流し雛 北木島の流し雛の写真
子供たちと流し雛

この子たちの船はちゃんと流れていったのでしょうか。

石切りの島、北木島。どんな島だろうとワクワクしながら訪れました。フェリー代が安いので伏越港から島の北へ渡り、往路は外周を、復路は山を越えて島内の探索をしてみました。

島内の海岸付近には石材屋が多く、山の斜面にはかつての採石場も残り、集落の各所に石材を利用した石碑や像があり、石材尽くしの島といった感じで、歩いていて楽しかったです。

流し雛は、12体の人形を船に乗せたり、貝殻で装飾したりと、他とは違った流し雛で興味深かったです。とはいえ、瀬戸内では船に人形を載せて穢れなどを流す行事は珍しくはありません。この行事もそういった瀬戸内の文化とひな祭りとが合わさった行事となるでしょうか。

この日はあいにくの風で波が高く、船が浜に戻ってきてしまうのはちょっと残念でした。でもそのうち流れていくだろう。こういう日もあるよ、気長に待とうよ。といった、のどかでおおらかな離島の雰囲気をたっぷり満喫することができました。

北木島の流し雛
<2016年訪問>
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* 情報、アクセス等 *

・北木島の流し雛の概要

・開催日時2020年3月22日(日) (例年旧暦3月3日近くの日曜)
・開催場所北木島大浦海岸、笠岡諸島開発総合センター
・行事内容流し雛
・スケジュール11時50分から流し雛
・アクセス等JR山陽本線笠岡駅下車、笠岡港からフェリー
・備考笠岡市重要無形民俗文化財
・関連サイト

*訪れる際には最新の情報を入手されることをお勧めします。

* 地図 *

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